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ミュージックキャンプで育む自立と成長

特定非営利活動法人Smirhythm

大好きな音楽漬けの2日間!

活気あふれる歌声と楽器演奏に合わせて子どもたちが次々と中央の舞台に飛び出し踊りはじめます。親もスタッフも歌やダンスに参加すると、会場に一体感が。弾ける笑顔の人もいれば、感動の涙を流す人も。そこには音楽を通じて心が通い合う時間がありました。

これは、ウィリアムス症候群を持つ子どもたちの音楽療法キャンプでのクライマックス、ファイナルステージの一幕です。ウィリアムス症候群とは、7番染色体の一部のわずかな欠損による遺伝子疾患で、その発生率は1万人から2万人に一人といわれています。心臓や腎臓に先天的な障害があったり発育発達の遅れ、視空間認知の難しさ、小柄な身体などが主な特徴といわれていますが、その症状は一人一人様々です。

一方、社交性、表現豊かな言語能力、その中でも特に天からの授かりものともいえる、音楽への興味や音楽に喜びを感じる感性を持っており、中には絶対音感や超人的なリズム感を持つなどの類まれなる才能を発揮する人も少なくありません。この音楽への強い感性を生かして、ウィリアムス症候群を持つ子どもたちの自立と成長を目的とした音楽療法キャンプが、毎年ゴールデンウィークに行われています。

ファイナルステージでは、プログラムでのレッスンの成果を発表します。

この写真はドラムサークルのひとコマ。リズムに合わせて踊ります。

日本でも音楽キャンプが必要なんだ

このキャンプの企画・運営をしているのは、特定非営利活動法人Smirhythm(スマイリズム)。キャンプのほかにも、ウィリアムス症候群を持つ子どもたちのためのリトミック教室や講演会など、音楽を通じて同じ病気の仲間と交流するための活動を行っています。

 

スマイリズム事務局長でキャンプ・ディレクターでもある松井ちさこさんの娘さんがウィリアムス症候群と診断されたのは2004年のこと。当時の日本にはこの難病に関する情報がほとんどありませんでした。そんな中、アメリカでウィリアムス症候群を持つ子どもたちとその家族のための音楽療法キャンプが行われていることを知り、診断の3カ月後に、わらにもすがる思いでキャンプに参加。キャンプでは、数々の療法を絡めた音楽レッスン、ダンス、楽器演奏をはじめ、個人の発表会、キャンプファイヤーなどで、音楽に囲まれていきいきと交流する子どもたちの姿が。そこにはたくさんの笑顔と集まった人たちの愛情が溢れていました。

 

1週間の滞在でのキャンパーたちの目覚ましい成長をみてキャンプの効果に驚かされ、その後何度か参加したキャンプでの体験が、不安な思いでいっぱいだった将来に希望の光をあて、松井さんの心を救ったのです。

 

「音楽キャンプを必要としている人たちが日本にもいる」「日本でもやらなくては」。そう感じた松井さんは、2015年にアメリカの体験をリアルに再現して日本での音楽療法キャンプをスタート。以来毎年開催し、毎回30組以上の家族が参加しています。

韓国からきた音楽療法士のレッスン。
子どもたちは言葉の壁を容易に越え、熱心に参加しています。

 

音楽の力で自立を目指す

2015年の第1回はアメリカのキャンプを行うWilliams Syndrome Associationのディレクターを招き、1泊2日というアメリカにくらべて短い期間でしたが、現地で行われる療法や教育を実際に指導してもらいながらプログラムを構築しました。第2回以降は、試行錯誤を繰り返しつつ日本の子どもたちに寄り添う形で毎年テーマを決め、オリジナルのキャンププログラムを行っています。音楽療法を中心に、リズムやダンス、音楽レッスン、個別発表など、朝から夜までみっちりと音楽漬けのスケジュールです。

2017年のテーマは「リズム」。音楽を通して、自然の中にあるリズムや自分の中にあるリズムを感じるプログラムです。「自立・協調・チャレンジ」を大きな目標とし、それぞれのカリキュラムを通して、個性や可能性を探ります。それぞれのプログラムには作業療法、言語聴覚療法、理学療法、ダンス&ソング、ドラムサークルなどの講師に加え、音楽療法には、ウィリアムス症候群の療育に豊富な経験をもつ講師を韓国から招きました。

参加者は2歳から成人と幅広く、それぞれの年代にあったプログラムに参加します。

小さな子どもがまず目指すところは15歳までに生活力の自立、思春期では精神的な自立。成人期は社会での自立を目指します。親のためのプログラムも用意し、貴重な情報交換の場にもなっています。

個人発表の場ではプロのピアニストとセッション。写真は参加者最年長の男性。

プロのミューシャンや音楽講師たちは、参加者の音楽への姿勢に刺激を受け、

音楽の喜びや自分の原点を思い出すといいます。

幸せな場所をありがとう

2017年度に参加した家族は37組。ボランティアとスタッフも合わせると160人と大所帯です。2018年度には、日程を2泊3日に増やし、プログラムもさらに充実させました。

半年間以上という長い準備期間には、参加者に合わせたプログラム構築や資金集めなど、苦労が多いと語る松井さんですが、参加者から寄せられる「こんな幸せな場所を作ってくれてありがとう」という喜びの声が活動の原動力だとのこと。「活発な子もいれば、なかなかレッスンに加われない子もいるなど親子の状況は様々ですが、キャンプがみなさんにとって、揺るがないもの、人生のプラットフォームのような存在になれば。」と語ります。

言葉では言い表せない思いを音楽が解き放ち、音楽で一つになれた喜びや自信が、その後の人生に力や希望を与えてくれます。「これからも、ウィリアムス症候群を持つ子どもたちの繋がりを広げる活動を続けていきたい」と松井さんは語ってくれました。

※2019年度キャンプはゴールデンウィークに東京で開催。募集要項はスマイリズムのウェブサイトにこの秋に掲載の予定です。

毎回、開催会場は自然に恵まれた環境です。

・特定非営利活動法人Smirhythm

 団体情報はこちら(CANPAN団体DBへ)

・ 2017年度 日本財団支援事業

 ウィリアムズ症候群の子どもと家族のためのミュージックキャンプ(Tooth Fairy)

ウィリアムズ症候群を持つ子どもとその37家族を対象に、1泊2日のミュージックキャンプを実施。「自立・協調・チャレンジ」を大きな目標とし、幼児から成人までそれぞれの年代にあわせたプログラムを提供する。

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