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ファシリティドッグが寄り添う小児病棟

特定非営利活動法人シャイン・オン・キッズ

· 2017年度 助成・支援事業紹介

ベイリーはみんなのアイドル

静かな病院の廊下を、真っ白でつややかな毛並みのゴールデンレトリバーが青い服を着たハンドラーとともに軽快な足取りで歩いてきます。すると、入院中の子どもたちが駆け寄り、看護師や清掃員もみんなが笑顔で声をかけて大歓迎。その犬の名はベイリー。病院のスタッフとして毎日病院に通うファシリティドッグです。

「ファシリティドッグ」とは施設の犬という意味。特定の施設で働くために専門的に育てられた犬のことです。4年以上の臨床経験のある医療従事者であるハンドラー(犬をコントロールする人)と共に病院に常勤し、スタッフの一員として医療の現場に入って、子どもと親の心のケアに携わります。

ベイリーは、ハワイで専門的な訓練を受けた後、看護師の資格をもつハンドラーの森田優子さんと共に日本の病院での勤務を2010年から開始しました。現在、国内では、神奈川県立こども医療センターにはベイリーとアニー、静岡県立こども病院ではヨギの3頭が働いています。これは、特定非営利活動法人シャイン・オン・キッズ(以下、シャイン・オン!キッズ)が小児がんや重い病気と闘う子どもたちの心のケアを目的に行う活動の1つです。

病院の廊下を歩くファシリティドッグの「ベイリー」とハンドラーの森田優子さん

一緒にいてくれるから治療を頑張れる

「2010年の開始当初は、勤務は週三回までで、廊下までしか入ることが許されませんでした。ところが、ファシリティドッグと触れ合う子どもたちの笑顔と変化を目の当たりにした病院側の理解が深まり、活躍の場が増えてきたのです」と、シャイン・オン!キッズ広報の橋爪浩子さんは話します。今では、集中治療センターにも入れるようになり、一頭で年間延べ2000人以上の病気の子どもたちと触れ合っています。

毎日同じ病院に勤務しているため、子どもたちは多くの時間を同じ犬と過ごすことができます。ファシリティドッグと一緒だと、リハビリでいつもの倍歩くことができた、ごはんがたくさん食べられたということも。必死で何かを乗り越えるというよりも、「ベイリーがそばにいるので気づいたらできていた」ということが多いとか。

ファシリティドッグは子どもの治療計画にも組み込まれ、手術室への移動や麻酔前後の付添い、薬が飲めない子の応援、ベッドでの添い寝、歩行リハビリテーションの同行など、仕事は多岐にわたります。「○ちゃんが注射を怖がっているのですぐに来てもらえないか」といった急な依頼にも、病院に常勤しているため柔軟に対応することが可能です。

彼らは、手術後でぐったりしている子どもや気分の沈んでいる子どもにはそっと寄り添い、回復期で元気に動ける子どもとはボールなどで活動的に遊びます。また、ある子どもの病室に盛んに行きたがっていたため訪れてみると、その子を看取る直前だったということもあるそうです。

子どもに付き添う親は、厳しい状況のなかでも子どもの前では明るく振舞わなければなりません。病室から廊下に出て、ベイリーやヨギに抱き付き、涙を流しながら話かける両親の姿も少なくないといいます。何も言わずにそっと寄り添ってくれるファシリティドッグの存在は、子どもだけでなく、その家族にとっても大きな支えになっているのです。

検査を頑張った男の子に、添い寝をするベイリー

人が大好きで、病院でみんなに会えるのが楽しい

ファシリティドッグは人が大好き。病院でたくさんの人に会えるのが楽しくて仕方がないといいます。ハワイの育成施設で1年半にわたる訓練を受けて、病院や老人ホームでも研修を重ねたため、様々な音や匂いのある病院内でも、常に落ち着いた行動ができるのです。

犬が病院で働くためには、清潔であること、健康であることが必須。病棟に入る際には必ず消毒シートで身体を拭きます。食事の管理やシャンプー、ブラッシングに気を配り、綺麗な毛並みをキープ。朝夕の一時間の散歩はもちろん、土日の休日には海や山などに行き、自然の中で思いきり遊んで心身の健康を大切にしています。だからこそ、小児がんや重い病気の子どもたちにも笑顔を届けられる存在でいられるのです。

男の子が描いたヨギの絵が載ったカレンダー。いっしょに記念撮影しよう!

ありがとう、ベイリー

活動のための費用の多くは寄付でまかなわれており、継続していくためには、資金調達が大きな課題。SNSでの発信や、写真展を開催するなどして、少しでも多くの人に知ってもらうための啓蒙活動にも力を入れています。

ベイリーは10歳、人間で言えば初老の年齢です。引退を見据えて少しずつ仕事の量を減らし、医療現場に入っていく動物介在療法から、患者と触れ合うことを中心とした動物介在活動に活躍の場をシフトし、2017年9月にはハワイから新たに2歳のアニーを迎え、仕事を引き継いでいます。

これからもファシリティドッグはハンドラーと共に、病気と闘う子どもたちとその家族に寄り添いながら、治療をサポートしていきます。

ヨギが大好きな女の子。「ヨギと一緒なら治療も頑張れる」といいます

・特定非営利活動法人シャイン・オン・キッズ

 団体情報はこちら(CANPAN 団体DBへ)

・2017年度 日本財団支援事業

 ファシリティドッグを病院に届ける活動(Tooth Fairy)

専門的に訓練された犬(ファシリティドッグ)と医療資格(看護士)のあるハンドラーを全国2病院に常勤派遣し、延べ約4200名の子どもの心のケアを行う。

 啓発を目的とした写真展を開催(1回)。一般来場者約4000名。

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