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家族一緒に大自然で深呼吸

公益財団法人そらぷちキッズキャンプ

· 2017年度 助成・支援事業紹介

難病の子どもと家族に安心できる自然体験を

新千歳空港から車で約1時間半。緑の大地と広い空、絵に描いたような北海道の大自然の一角に、難病の子どもたちが安心して自然体験ができるバリアフリーのキャンプ施設「そらぷちキッズキャンプ(以下、そらぷち)」があります。日比谷公園と同じ16ヘクタールの敷地には、宿泊施設のほか牧草地や森、連なる山々を見渡せる丘などがあり、雄大な自然が満喫できます。

年間を通じてさまざまなキャンププログラムが実施されており、 どのプログラムも交通費から滞在費まで全て寄付で賄われ、参加者の負担はありません。その中でもそらぷちが大切にしているのが、病状や障害が重く、集団での行動が難しい子どもとその家族を対象にした「レスパイトキャンプ」。1回に2〜3家族という少人数で行なわれる、家族のペースを重視したプログラムで、普段診ている医療者も一緒に参加するのが特徴です。

滞在は3泊4日。主な内容は、森の奥に建てられた車いすのまま入れるツリーハウスを目指すハイキングと馬プログラムの2つで、自然の中で一家がだんらんできる時間のゆとりを大切にしています。普段は仕事で忙しいお父さんもじっくりと家族に向き合うことができ、障害がある子どもの入浴や食事の介助に初めて挑戦した、ということも。

子どもの病気や障害が分かった瞬間から極度の緊張感の中で暮らしてきた家族にとって、子どもの体調管理を医療スタッフが一緒に見守ってくれて安心して過ごせる4日間は文字通り「レスパイト(休息)」。食事の後にボランティアスタッフが用意したバータイムでは、久しぶりにお酒を楽しむ両親のリラックスした姿が見られます。

深い緑に包まれたハイキングの道。北海道の自然を五感で楽しみます

大自然の中で家族の力を育む

あるレスパイトキャンプでのハイキング中の出来事です。

「あっ、トンボ!」

姉の車いすにトンボが一匹…。妹が手を伸ばした瞬間、パッと飛んで行ってしまいました。

(私のせいじゃないよ)

言葉を発せない姉は、困った表情で気持ちを伝えています。このやりとりに両親やまわりの大人は大笑い。子どもたちは真剣です。トンボのおかげで森のハイキングは盛り上がり、みんな家族一緒の散歩を心から楽しんでいました。

馬プログラムでは、寝たきりの子や医療器具を使っている子どもも馬の背に乗ります。どうしたらうまく乗れるか、前の晩から主治医と家族で作戦会議です。

「呼吸器を付けた子どもが乗馬するなんて、本人も家族も、最初から諦めて想像すらしていなかったでしょう。ここでは周りを気にして焦る必要がありませんし、時間もサポートもたっぷりあるため、挑戦する気持ちが生まれるのです。遊びだからできることかもしれません。この成功体験は、日常生活でもさまざまなバリアを越えていける力になるはずです」と、事務局長の佐々木健一郎さんは語ります。

馬車で敷地を一周。

「この子と一緒に馬車に乗れるなんて夢みたい!」とお母さん

医療者と家族の絆を深める時間

レスパイトキャンプには、出発地から普段子どもを診ている医療者が同行します。人や機械の助けなしには生きられない重い障害をもっていたり、余命わずかな子どもたち、そしてその家族と4日間じっくり向き合うことは、医師にとっても大変貴重な体験で、医療者を目指した原点を思い出すきっかけになるそう。治療とは、患児や病気だけを診ることではなく、きょうだいや両親、生活全体までを診る行為であることをより深く実感したという若い医師の声や、また、余命の限られた子どもとの滞在では、子どもと家族に寄り添い、思いを受け止めるなど、治療の手段がなくなった後も、できることはまだまだあることに気付かされたという声も。

 

より良い治療には、医師や看護師と患者の信頼関係が不可欠。キャンプで培われた温かな関係性をベースにした医療は、それから先の子どもたちの生活の質を必ず高めていきます。また、この体験をした医師や看護師が増えれば、難病の子どもたちを巡る環境に、さらに良い変化が生まれるはずです。

流動食の子どもにも、厨房から同時に配膳されるので、

今日は一緒にいただきます!

思い出の場所が心のふるさとに

キャンプから家に戻りしばらくすると、思い出を残した映像やアルバムがそらぷちから届きます。さらにクリスマスには毎年プレゼントと手紙が。いつもみんなは繋がっています、というそらぷちからのメッセージです。この思いが伝わると、北海道は子どもや家族にとって第二の故郷となり、後年、ボランティアスタッフや支援者となって多くの人がそらぷちに戻ってくるそう。キャンプに参加した後、闘病生活に戻り子どもが亡くなった際、楽しかった思い出のあるこのキャンプ場は、遺された家族にとって心の拠りどころになるケースもあります。短い4日間のキャンプ体験が、かけがえのない居場所に変わります。

「レスパイトキャンプの重要性を社会に理解してもらい、さらに広げて行きたい。たとえ費用がかかっても、1組ずつでも実施し続けたいと考えています」と語る佐々木さん。困難を抱える子どもと家族の周りには、自分たちの力だけでは乗り越えられないハードルが想像以上にたくさんあります。この3泊4日の滞在中に刻まれたかけがえのない思い出は、それから先に家族が子どもたちをやさしく抱きしめ、前に進む大きな力になるのです。

気持ちいい風に吹かれ親子でひと休み。

のんびりした時間も楽しい。

・公益財団法人そらぷちキッズキャンプ

 団体情報はこちら(CANPAN 団体DBへ)

・ 2017年度 日本財団支援事業(TOOTH FAIRY)

 闘病生活のストレスを和らげるレスパイトキャンプ

難病と闘う子どもと家族3族11名を対象に、3泊4日のレスパイトキャンプを実施。

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